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コンセンサス・ビルディング基礎知識コーナー
その1:コンセンサス・ビルディングって何? (メルマガ 第13号より)
今回、このカタカタ言葉をはじめて耳にされた方も多いと思います。 私もどう訳せばよいものか、これまで悩んできましたが、今回はその ままカタカナで訳すことにしました。Consensus Buildingを日本語に すれば、「合意形成」となるのでしょうが、これでは意味が広すぎるの で今回はカタカナにします。
コンセンサス・ビルディングは合意形成を実現するためのプロセス、 方法論です。具体的には、招集、責任の明確化、審議、決定、合意事 項の実現の5段階から成っており、段階ごとにさらに細かな手続が決 められています。現場では、この流れを基本にしつつ、議論のテーマ や参加者に応じて適切なプロセスが設計されます。また、このプロセ スを設計、管理、そして議論を運営するためにメディエーター(また はファシリテーター)と呼ばれる人が関与します。
米国では、労使紛争で用いられてきたメディエーション(調停)の手 法を環境問題、公共政策課題に適用する動きが1970年代に始まり ました。1974年にワシントン州スノクアルミー・ダム建設に関す る行政、住民、環境団体を巻き込んだ大紛争が、メディエーションに より合意に至ったことから、この分野は次第に発展してきました。こ の点については昨年のPI-Forumのセミナーにおいてサスカインド教授 にお話いただきました。なお、今回の講師であるサスカインド教授は、 まだ米国でも試行錯誤の段階であった1970年代からメディエータ ーとして活躍し、その経験をもとにコンセンサス・ビルディングを体 系的に整理した方です。
コンセンサス・ビルディングの基本的な目標は、利害(interest)を持 つ人たちを特定し、議論に呼びよせ、フェイス・トゥ・フェイスで話 し合わせ、彼ら自身で全員一致の合意(コンセンサス)を見つけ出さ せることです。つまり、市民の意見を「集める/反映する」のではな く、市民に意見を「話し合わせる」という点が特徴であるといえます。
コンセンサス・ビルディングの背景には「交渉学(negotiation)」とい う理論があります。セミナーでは交渉学についても紹介していただき ますが、その予習として、次回本メルマガにて交渉学について簡単に 説明したいと思います。
〔文責:PI-Forum理事 松浦正浩〕