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第2回:ICNet株式会社 研修事業グループ 太田紀子氏

「国際協力における参加型計画手法による研修プログラム」

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開発系コンサルタントであるICNet株式会社の研修事業グループでご活躍の太 田氏は、開発援助を行うために派遣される日本の専門家や海外からの研修員、ま た現地でプロジェクトに携わる人などを対象として、PCM手法に関する研修を実 施していらっしゃいます。
今回は、PCM手法をどのように伝えているか、またそれをどのようなカリキュラ ムで行っているかなどについてお話していただきました。以下、そのお話の要約 です。

1.国際協力における参加型手法の導入について

国際協力プロジェクトにおける参加型手法発展の歴史は、1960年代の冷戦時代 にまで遡る。アフリカ諸国など途上国が次々と独立していく中、アメリカは国際 社会での発言力を維持するため、開発援助を用いて新興国との関係づくりを行っ た。その際、開発援助による地域振興策を合理的に展開するため、USAID(米国 国際開発庁)により「ロジカル・フレームワーク」と呼ばれる、現在のPDMの原 型が開発された。この手法は、プロジェクトの全容を1枚紙で表すなどの理解し 易さや実用利便性が認められ、1970年代には各国際機関へ普及していったが、こ の時点ではプロジェクトを提供する側の視点しか入っていなかった。
1980年代になって、ドイツGTZによりZOPP(PCM)手法が開発され、この時点で初 めてプロジェクトを提供される側のニーズをどう組み込んでいくかという「参加 型」の概念が取り入れられた。その後、開発援助における参加手法の重要性が認 識され始め、1990年代に日本型PCM手法が、(財)国際開発高等教育機構(FASID) と国際協力事業団(JICA)の共同研究により開発され、1994年から国際協力事業 団(JICA)の国際開発プロジェクトにおいて、本格的に現場で導入され始めた。 したがって、日本の国際開発援助におけるPCM手法の実用化の歴史はまだ浅く、 試行錯誤しながら行っている部分もあるというのが現状である。

2.PCM手法の概要

1)PCM手法とは
では、PCM(Project Cycle Management)手法とは何か。開発援助プロジェク トの《計画->実施->評価》という一連のサイクルを「PDM(Project Design Matrix)」と呼ばれるプロジェクト計画概要表を用いて効果的・効率的な運営管 理を目指すのがPCM手法である。PDMには、プロジェクトの構成要素である「目 標」、「活動」、「投入」や、プロジェクトを取り巻く「外部条件」の論理的な 相関関係が示されている。このように、PDMは、計画・実施・評価という主体が 異なる可能性のあるそれぞれのステージをつなげるための共通の設計図として用 いられるものである。「PDMは皆さんのプロジェクトのガイドラインなので、必 ずこれを理解するようにしてください」というメッセージを、国際協力の現場に 携わる人たちに対して、研修では強調していると太田氏は言う。
また、PCM手法では、プロジェクトの計画立案(分析・立案)の各段階におい て、ワークショップなどを導入することにより、関係者の参加・意見を広く取り 入れた内容としている。これは、実施段階におけるプロジェクトの実効性を高め ることにも寄与している。

2)計画立案プロセス(分析)
計画立案時における分析の手順としては、1.関係者分析->2.問題分析->3.目的 分析というステップを踏む。ここで注視すべきは、このプロジェクトにどういう 人が関わってくるのかという《関係者分析》から始める点である。そこから出発 することにより、対象を特定した上で、その人たちがどういった問題を抱えてい るのか、それを解決するためにはどうすればいいのかといった分析が行われるこ とになる。

●関係者分析
まず、このプロジェクトを実施するにあたって、関係してくると思われる全て の人の洗い出し作業を行う。そして、それらを受益者、実施者、政策決定者…と いった具合にグルーピングする。その上で、どのグループの人たちがどのような 問題を有しているのかを明らかにする。
●問題分析
次に、対象となるプロジェクトに関する問題を分析するため、その問題につい て一番大きくカバーする言葉を用いて≪中心問題≫が設定される。それが問題構 造を把握するための、出発点となる。そして、原因-結果という因果関係を構造 化していくことにより、問題系図を作成する。ここで大切なのは、狭い領域の課 題を深堀するよりも、できるだけ議論を横に広げて全体の問題構造を把握するこ とである。
●目的分析
問題分析で出てきたそれぞれの問題について、それが改善された状況を想定 し、ネガティブなセンテンスからポジティブなセンテンスに変えるという作業を 行う。その際、「単に表現を裏返すだけでなく、問題を解決するために各人が持 っているアイディアを入れ込んでください」と研修では必ずアドバイスすると言 う。そして、問題分析における中心問題を解決した状態を中心目的に据え、手 段-目的という関係を示す目的系図が作成される。また、その際に大切なこと は、「お金がないからできない」「政府が悪いからできない」で止まることな く、如何にいろいろな答えを工夫し提案できるかにある。モデレーターの役割 は、参加者の意見についてコンセンサスをはかりながらワークショップを進行し ていくことであり、モデレーターが答えを用意したり、意見を述べたりすること はない。

これらの説明の後、「農家」の「米による収入が少ない」を中心問題に設定し た問題分析及び目的分析の事例と、「私」の「最近太り気味である」という事例 が、受講者とのやりとりを交えながら行われた。「最近太り気味である」を中心 問題にした問題分析では、まず直接原因として「甘いものをよく食べる」「食事 の時間が不規則」「運動不足」「食べ過ぎ」が、さらにその原因として「甘いも のが大好き」「仕事が忙しい」「運動する時間がない」「仕事のストレス」が抽 出され、問題系図が出来上がった。ここで、ある受講者が指摘した「おいしい」 という直接原因が、「私」の考える問題構造に入っていないというハプニングも あり、問題分析の「対象」を特定することの必要性を受講者も具体的に認識する ことができた。
そして次にこれらについて目的化を行い、「体重のコントロールができている」 を中心目的にし、その手段として「甘いものをひかえる」「食事を規則正しくと る」「適度な運動をする」「食事量をコントロールする」が、さらにその手段と して「運動する時間をもつ」「ストレスをためないようにする」が挙げられた。 しかし現実的には「甘いものをひかえる」ことや「運動する時間をもつ」ことは 困難であることから、その打開策として「甘いものDayをつくる」「自転車で通 勤する」といった自分のアイディアを採り入れた目的分析を行い、目的系図が完 成した。
研修では、このような問題構造が把握しやすい身近な事例を用いた後に、問題構 造がより複雑な専門分野の事例を扱うという工夫をしているのだと言う。

3)計画立案プロセス(立案)
プロジェクトの立案段階では、関係者の意見が反映された目的系図が用いられ る。目的系図で括られたいくつかのプロジェクトの中から、実施主体の意向、予 算や制度上の課題などの実現可能性、実際に開発を行う途上国側の政策と日本の 開発援助政策の考え方なども加味した上で、実際に行うプロジェクトが選定さ れ、そのプロジェクトについてPDMが作成される。PDMは、プロジェクトの目標、 活動、投入及び外部条件などの要素や、進捗状況を把握するモニタリングのため の指標などを明示するものである。

4)実施段階
PDMはプロジェクトの到達点までの基本的な事項を表しているため、実施段階に おいてもPDMを基軸として展開することになる。このPDMと評価の視点からモニタ リングを行うことにより、プロジェクトの進捗を管理し、プロジェクト目標に応 じて実際の運営に軌道修正を加えていく。具体的には、投入量に見合った活動の 質と量があるか、またそれが成果に結びついているか、その成果はプロジェクト 目標の達成に貢献しているか、そしてプロジェクトに影響を及ぼすようなことが 発生していないかといったことが、モニタリングの内容となる。

5)評価段階
 実施したプロジェクトに対する評価について、開発援助型の評価は効率性・有 効性・インパクト・妥当性・自立発展性という評価5項目が設定されているが、 これらは全てPDMに組み込まれており、評価者はPDMをベースにして評価を行う。 「効率性」とは、「投入」が「成果」にどのようにどれだけ転換されたか、「有 効性」とは、「成果」によって「プロジェクト目標」がどこまで達成されたか、 「インパクト」とは、プロジェクトが実施されたことにより、「上位目標」につ いて直接的、間接的にどのような影響があったか、「妥当性」とは、「インパク ト」と同様の視点に加えて、援助の場合は国際開発政策とプロジェクトの目標で 達成しようとしたことがどのぐらい整合性があるか、「自立発展性」とは、援助 が終了した後も、プロジェクト実施による便益が持続されるかどうか、といった 観点から調査を行う。

3.研修カリキュラムとその課題及び実績紹介

1)研修カリキュラム
PCM手法に関する研修の主なコンポーネントは、参加型計画立案、PDM、モニタリ ング、評価の4つから構成される。なぜなら、参加型計画立案は立案者が、モニ タリングは実施者が、評価は評価者が、その主体となり、その全てにおいてPDM に対する共通理解が必要とされるからである。
研修のスケジュールを作成する際には、研修受講対象者の研修の目的やニーズ、 また研修日数、講義と演習のバランスについて留意している。人に自分の言いた いことを伝える力を身につけさせるため、またPDMに対する理解をはかるため に、研修員自身が行うプレゼンテーションの時間を必ず設けている。
ICNetが実際に提供している研修にはいくつかのパターンがある。PCM基礎研修で は、PCMの理論を理解することに重点が置かれており、事例を用い、PCM手法の概 要について演習を通じて理解を深めていく。これに対しアクションプラン作成研 修では、研修終了後の実際の活動に具体的に結びついていくことを目的としてい るので、それぞれの研修員が抱えるテーマや課題(実例)を研修の題材とする。 現実の問題や課題を取り扱うことで、PCMの理論を理解するだけでなく、実際の 問題解決法を研修中に考えることができるようにすることを目指している。

2)研修カリキュラムの留意点・課題等
海外援助などに際して現地で研修カリキュラムを組み、実施する上での留意点・ 課題としては、地域性・文化を考慮し対応すること、また通訳をつける場合は事 前にブリーフィングを行うこと、現地語で対応する場合には人材が限られるこ と、英語で対応する場合には受講者が限定されること、などがあり、これらに留 意してカリキュラムを組んでいく必要がある。また、カリキュラムを形成する 際、研修対象者が実際のプロジェクトのどこの部分に携わるかという点に留意す ることも忘れてはならない。

3)実績紹介
ICNetがこれまでに提供した研修の実績としては、日本国内では、JICAプロジェ クト専門家を対象としたPCM「モニタリング・評価」研修、通訳(調査団)を対 象とした研修、海外からの研修員を対象とした研修などがある。また海外では、 プロジェクトを対象とした研修、JICA在外事務所を対象とした研修などがある。 日本からの専門家と一緒にプロジェクトを運営する現地の人をカウンターパート と呼ぶが、共同作業を行うにはPDMについての知識などの共有化が重要となるた め、カウンターパートに対する研修も行っている。
ここで、実際の研修の様子がわかるように、PCMを応用した研修モデル「地域住 民参加型開発手法コース」の研修事例の紹介があった。八王子国際センターか ら、「住民参加型エコ・ツーリズムの促進による地域開発」というテーマで、ブ ルガリア・ルーマニアの研修員、計8人(各4人)を対象にした研修依頼を受け た。しかし、何らかの問題を抱えているところから始まるPCM手法は、エコ・ツ ーリズムのような新しい概念には馴染みにくい。そこで、分析(関係者分析・問 題分析・目的分析)を始める前に、本来PCM手法には組み込まれていない「現状 分析・未来図作り」を行い、自分たちが目指している姿と現状とのギャップを気 づかせることにより、そこから問題分析に入るという形で行った。
研修プログラムの最後に、住民参加型によるエコツーリズムを地域で展開してい くため、研修員自らがその目的と対象者を設定し、プレゼンテーションを作成し た。研修ではそれを用いて講師たちを前に発表が行われたが、その際のそれぞれ のチームの一枚の絵がここで紹介された。ブルガリア・チームは「地域エコツー リズムセンターの確立によるエコツーリズム開発」を提案し、エコツーリズムを 1本の木にみたて、この木を大きく育てるためには雨(地域、政府、NGOなど) やお金(出資者)が必要であるが、一番大切なのは太陽(地域住民)であるとい う地域住民へのメッセージを一枚の絵に盛り込んだ。また、ルーマニア・チーム は「4つのプロジェクトの柱により達成されるエコツーリズム開発」を提案し、 ヤギが国旗を持って山の頂上を目指す絵を描いた。これは、異分野(NGO、省庁 関係、…)からの研修員4人をヤギの4本の足にたとえて、各人が抱えるプロジ ェクトの全てがエコツーリズムの定着につながるよう、4人が足並を揃えて到達 点までいくことを意味している。

4.今後の課題、取り組みの一つとして

課題としては、ファシリテータ・モデレーターの人材が限られていること、ファ シリテーション技術を「専門性」と認識している人が限られていること、参加型 ワークショップという言葉が独り歩きしていること、参加型手法及びその実施主 体を知っている人が限られていること、などがある。また今後の取り組みの一つ として、コンサルタントやその他の機関がファシリテーション技術を地域に技術 移転することにより、地域に根ざしたところの観点からファシリテートできるよ うな仕組みづくりを目指していることが挙げられた。

5.参考図書

PCM手法について、詳しくお知りになりたい方は以下の図書を参考にしてくだ さい。
 「PCM手法の理論と活用」(財団法人国際開発高等教育機構 2001年発行)

6.提案・質疑応答

1)提案
 講演の後、受講者から以下のような提案がなされた。

これらの提案を受けて、太田氏より「体験したワークショップのデータをどん どん蓄積していって、それをコンサルタント側にフィードバックしていくという 皆さんの視点も必要。それが、皆さんの情報の共有化につながるし、ひいてはコ ンサルタント側のグレードを上げることにもなると思う。」とのコメントがあっ た。

2)質疑応答
●研修について
(問)研修の費用はいくらですか。
(答)省庁やJICAなどの事業のように、予算項目が既に決められている場合には  それに従うこともあるが、基本的にはパッケージ予算の形、【一人当たり2万  円×日数+講師の宿泊費、交通費等】で提供するようになっている。
(問)研修を受けるのはコンサルタント等の関係者が多いのか、地域住民の場合  もあるのか。
(答)ICNetでは、クライアントからの要請を受けてPCMの研修を行うことになる  ので、どこから依頼されるかによる。今のところ私の知っている範囲ではNPOか  らの依頼というのはまだないが、一般企業はある。
(問)モデレーター養成研修(社内)は、どのような内容で行われているのか。
(答)まず、事例を用いた研修の進め方について、受講生に対する話のポイント  などを押さえながらミニワークショップなどを実施する。そして、基礎が分かっ  た段階で、実際のワークショップのアシスタント役として入り、その次に全体  のワークショップを仕切り、最後は講義まで行うようになるというふうに、段  階を経て行っていくパターンが多い。
●PCM手法の活用について
(問)実際に土木のような現場でプロジェクトに適用される可能性は。
(答)開発の現場という意味では、JICAの開発系のプロジェクトでは1994年の導  入以来、ほとんどPCM手法を現場で使っているので、土木事業への適用の可能性  も十分あると思う。
(問)社会的に合意形成が得られても、地権者の反対があれば最終的に事業は滞  ってしまうので、どの段階でどういう人が関わっていくかという仕組みづくり  が非常に重要ではないか。
(答)住民グループと地権者グループでワークショップを行う場合があると仮定  すると、先に住民グループでワークショップを行い、その結果を地権者グルー  プにインプットしておいてから、「地権者としてはどのような問題構造をみて  いるのか」という地権者グループのワークショップをスタートするというよう  に、2つのワークショップを関係づけさせる工夫をする。それはレベルを変え  ても同じで、日本の政府の人と相手国側の政府の人で合意形成をはかる場合も、  先に住民のニーズを把握し、情報としてあげておくことの効果は大きいと思う。
●プロジェクトの実施責任者と計画者、評価者の関係について
(問)例えば、日本政府が開発援助を行う場合、実施者は相手国政府になるが、  PCMを用いた計画のアカウンタビリティは誰にあるのか。
(答)両国間の合意がある場合は、そこが責任を持つことになる。基本的にPCM  は調査団がプロジェクト形成をする時に使われる。PDMが出来上がって、それ  について両国政府の合意がなされれば、それが実施グループに送られ、実施グ  ループは責任を持ってPDMに従い実施し、それに外部評価者が評価をするという  枠組みになっている。
●その他
(問)海外のシリアスな問題がある現場で、分かり易く身近なテーマを探す方法  は。
(答)ダイエットの問題などは研修の場では話題として認識し易いので使うが、  現場でワークショップをやる場合には、現場の人たちの専門分野に照合させて  考えられる簡単なケースなどを想定する。事前に資料を読み込んでおいて、そ  れを土台にして、彼らの頭にありそうなことを事例として挙げることもある。

〔文責:土木技術者のための合意形成技術の教育方法に関する     研究会 開催支援事業担当:野田昭子/石川雄章〕

7.主催者所見 −徳島大学 山中英生

 PCM手法は本研究会の前身「社会資本整備の進め方研究調査委員会」から、 注目し実際の事例への適用を進めてきたもので、今回はその手法を研修するとい う業務を担っていられるコンサルタントから、教育プログラムでの工夫、実例を お聞きする研究会を開催した。
 PCMは海外援助のプロジェクト立案と実施・評価のニーズの中で生まれたも のであるが、最初から「参加型」「集団による意思決定」のしくみを明確に取り 入れた形をつくっていることや、分析と意思決定の流れを論理的で、効率的に進 められるという点で優れた手法だと感じている。
ただし、PCMを現実に面している問題で真剣に実施すると、3日以上はかかる とされ、しかも、質の高い計画を立てるには、参加者の多様性を確保しなければ ならない。となると、実験的や試行的なものはともかく、JICAという組織が 援助立案の条件としているわけでもないため、我が国で、現実の施策立案の段階 では、そういった場をもてることがなかなか難しいのが現状であった。 むしろ、関係者の各人がPCMの論理的な流れとしくみを理解し、その上で議論 を進められるよう、PCMの研修を受けることも、重要な合意形成技術者として の教育になるのではないかと感じている。特に参加型計画の手法は、本研究会で 扱う、公共事業における合意形成技術という点で、学ぶべき思想が多く内在して いる。つまり、PCMを知る技術者が集団に入るだけで、集団思考の論理性や決 断の効率性が大きく改善されるような効果も期待できるのではないかと考えてい る。そうすれば、小さな集団での意思決定問題からPCMの考え方を応用し、さ らに大きな集団での適用へと広げていくような展開が期待できるのではないだろ うか?
今回のPCMの研修事例では、「わかりやすい身近な事例から入ること」、「集 団自らが関心あるテーマでやってみること」を中心に進めることで、教育成果を 得ているとの報告をしていただいた。特に事例の選択はその要であると言える。 PCMをモデレートし、さらにはそれを研修できる人材の育成方法が重要な課題 であると言える。

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