このページはPI-Forumとして活動していた頃のウェブサイトをアーカイブしたものです。

現在、同法人は democracy design lab. と名称を変更し活動しております。

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NPO法人 『PI−Forum』  ■□■□■□■□■□■□
  メールマガジン 第10号
                  (2002/12/13)
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□ 目次

[イベント情報]
●平成14年度土木学会四国支部 調査委員会
 第2回 土木技術者のための
 合意形成技術の教育方法に関する研究会のご報告
  (土木技術者のための合意形成技術の教育方法に関する研究会
   開催支援事業担当:石川雄章/水谷香織)

●第12回異分野PI交流ワークショップ開催予定のお知らせ

[事務局Voice]
  (事務局 水谷香織)

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[イベント情報]
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★四国での研究会のご報告です!
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土木学会四国支部主催、PI-Forum協力
 第2回
 土木技術者のための合意形成技術の教育方法に関する研究会
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              2002年10月7日(月) 18:00〜20:00
                  於:高知電機ビル604号室

■◇まちづくりファシリテーターの人材育成
  〜参画理論をベースにした
            『場づくり人』の育成を目指して〜◇■

                 計画技術研究所 竹迫和代氏

 (株)計画技術研究所に所属する竹迫(たかば)氏は,個人でも
ご活躍中のファシリテーターです.大学時代に,恩師林義樹先生
(武蔵大学)の「学生参画授業」で鍛えられたノウハウと理論,参
画スピリットで,北九州,宮城県,愛知県,千葉県など全国ベース
の「住民参画のまちづくり,地域づくり」に取り組んでいらっしゃ
います.
 本研究会では,参画理論に基づく「場づくり人」,「まちづくり
ファシリテーター」の人材育成」について,お話をお聞きしました.
また,後半は,ラベルワークを体験しながらディスカッションを行
いました.以下,その要約です.

<ワークショップのプログラム>
18:00〜 オープニングタイム
・今日のねらいとスケジュール
・アイスブレイク
18:20〜 話題提供
・参画理論と「場づくり力」
・事例1 わくわくまちづくり工房
・事例2 地域情報サロンしろいし
19:00〜 ラベル ディスカッション
19:50〜 クロージングタイム
・今日の感想を書き残そう


1.オープニングタイム

●アイスブレイクを兼ねた自己紹介「四国といえば・・・」
 「‘竹’に‘迫’と書いて‘たかば’と読む,福岡県でも熊本県
との県境でのんびり育った」という竹迫氏の自己紹介から始まり,
「夜須町での全国のまちづくり人が集う会議に出席した,結婚祝い
は馬路村の製品だった,現在横浜市に住んでいるが,みょうがとし
ょうがは高知産のものを買う」など,竹迫氏の生活とも深く関係す
る「高知県とのご縁」が紹介された.
 本日のねらいとプログラムの説明後,「HELLO MY NAME IS」とい
う名札シールに,各自の好きな色でフルネームを書く名札づくりを
行った.竹迫氏は,「合意形成の一番の基本は,自分はどこの誰だ
ということをはっきりさせること」と言う.
 つぎに,参加者の自己紹介方法について,「お名前と,ご所属と,
一言『四国といえば・・・』ということを一言付け加えて頂ければ
と思います.」との説明があった.そして,「一度紹介されたもの
は,もう言わないようにしましょう.」と,ゆったりとした口調で
ルールが付け加えられたので,一瞬の緊張と笑いがあり,ゲーム感
覚での自己紹介がはじまった.「讃岐うどん」,「阪急ブレーブス
の本拠地」,「丸亀うちわ」,「瀬戸大橋」,「徳島ラーメン」,
「繭山(びざん)」,「ポンジュース」,「金毘羅山」,「阿波踊
り」,「水不足→節水ゴマ」,「土佐弁」,「土佐うち刃物」,
「わかめ」,「坂本竜馬」など,参加者の個性が垣間見られる四国
の紹介が進むにつれ,初対面の人も多い中アットホームな雰囲気作
りが行われた.


2.話題提供

●「場作り人」の育成を目指して
 竹迫氏は,現在までに,ファシリテーターとして,1)住民と行
政が一緒になって作成する都市計画マスタープランなどのまちの将
来像作り,2)住民参加の条例作り,3)商店街の活性化,4)公
園や施設作り,5)まちづくり講座,住民参加のプロセスデザイン
を考える住民参加の人材育成 などの仕事に携わってきたが,ファ
シリテーターとしての専門的な教育を受けてきたわけではない.
 竹迫氏は,ファシリテーターの存在を知る以前から,大学で「講
義を与えられたままに受講するのではなく,自らが学ぶ場を,学生
自らが主体的に創っていく参画授業」を通じ,また,1年間参画授
業を経験した者が,次年度から任意のスチューデントワーカーとし
て同授業を受講する後輩の手助けをするシステムを通じて,教官の
暖かく厳しい指導のもと,現在のファシリテーター技術や「参画の
場づくり」に伴う活動の一つ一つを学んだという.これらの経験か
ら,竹迫氏は,「ファシリテーターと限定するよりも,コミュニテ
ィーに帰属する人を育成することに重きをおき,地域の魅力や埋も
れた人材を発掘したり,異なる立場や世代をつないだりしながら,
地域の中で問題解決ができる土壌= “地域力”を高めることのでき
る人材の育成が大切だ」と言う.

●「参集」「参与」「参画」という参加の三段階
 合意形成の場では,参加している人の主体性が問われる.竹迫氏
の恩師である武蔵大学林義樹教授は,人々の参加の度合いを「参集」,
「参与」,「参画」と三段階に分類し,その場に係っている人々の
意識をどう高めていくかという教育学の分野で発達した参画理論を
まちづくりなどに応用している.
 「参集」とは,大学の授業でいうと講義形式にあたる.豊富な情
報を伝達するためにはこの方法が適切であるが,相互の対話は難し
いといえる.住民が行政からの一方的な説明を聞き,意見がある人
は発言するという説明会も「参集」といえる.
 「参与」とは,大学の授業でいうとゼミ形式にあたる.まちづく
りのフィールドでは,住民,行政が交じり合って小グループをつく
り,何らかの見解をまとめていくというワークショップにあたる.
この段階になると,どこからかの一方的な意見ではなくて,双方向
的な対話が可能になる.
 「参画」とは,その場の枠組み自体を参加者が自ら主体的に作っ
ていくということ意味する.現在の住民参加というのは行政,もし
くは行政から委託されたコンサルタントが用意した場に,住民が来
て意見をいう形が多い.純粋な「参画」では,住民がその場自体を
自ら用意し,行政に来てもらうという形をとる.
 「参集」の段階から「参画」の段階に高まっていくときには,段
階が変わるごとに主体性のレベルが急に高まる変質点がある.例え
ば,「参集」のスタイルから,「参与」のスタイルに移行するとき
には,「個人の殻を破る」という現象が起こる.自分が思っている
ことを,自分の殻を破って外に出すことが出来るか,また,自分の
殻をいかに破ってもらって,自分の意見を提示していけるかという
ことが重要になってくる.この最も象徴的な形が「記名による情報
発信」である.
 「参与」のスタイルから「参画」のスタイルに移行するときには,
「組織の壁を越える」という現象がおこる.「NPOの○○課の太
郎です」,「行政の○○課の花子です」など組織人としての自分を
越えて,参加者一人ひとりがいかに横につながって考えていけるか
がポイントとなる.

●参画型にモードチェンジする秘訣〜4つのエンジン(仕掛け)〜
 「参集」,「参集」,「参画」のどの場面も重要であるが,人材
育成講座においては,トータルで「参加」という概念の中にいれ,
とくに「参画」の場面を担える「場作り力」をもった人のトレーニ
ングを行っている.具体的には,以下の4つの仕掛けを作っている.
 「人格力エンジン」とは,一人ひとりが持っている個性,技,経
験,知識を指す.その人のかけがえのない魅力(個性)を,いかに
地域づくりや組織の活性化などに活かしていくかがポイントとなる.
まずは,自分と相手のフルネームを大切にすることから始めてみる.
 「組織力エンジン」とは,個人が集団や組織になった時に発揮さ
れるパワーや発想を指す.様々なテーマに対して,その場でワーキ
ンググループ,分科会などを形成するなど,個人が集団となって物
事を考えていく.ポイントは,グループ壁をどう超え,組織全体へ
の関心をどう育てるかにある.
 「事実力エンジン」とは,事実や現実の動かしがたいパワーとど
う向き合い,どう生かしていくかを真剣に考える.一部の人々の間
に閉じていると,地域の客観的事実の把握が,どうしても欠けがち
になる.ポイントは,常にその場が開かれていること.
 「情報力エンジン」とは,人格力,組織力,事実力を活性化し有
機的に結びつける方法や道具を指す.個性を表現するとき,小グル
ープでワークをするとき,客観的事実情報を取込んでいくときなど,
何らかの方法や道具が必要となる.ポイントは,その課題や組織固
有の技法を独自に開発すること.

●住民と市の職員が共に学ぶ「わくわくまちづくり工房」
 北九州市では,市の職員研修として「わくわくまちづくり工房」
を開催している.これは1998年にはじまり,今年で5年目になる.
行政の方と住民の計50名を定員とし,毎年新しい人が入る.また,
必ずOB/OGが10名程度残りともに勉強している.現在は,順番待ち
の状態である.今年は,4年目にしてやっと参加できたという人もい
た.参加費は無料.
 年間を通じて7,8回のメイン講座がある.前半はゲストを招致し
お話を聞き,後半は自分の活動してみたいテーマを掲げ,似た人同
士でグループをつくり,地域現場で実際にアクションを起こしても
らうように企画されている.どのようなテーマ,プログラムにする
かは,参加者が自分たちで作っていく.地域で実際にアクションを
起こすので,メインの講座の日以外にも,自分たちで自主的に集ま
って,打ち合わせや企画の準備作業などのグループ活動を行ってい
る.最後に報告書を作る.

●学びの共同体の形成
 この「わくわくまちづくり工房」は,現実のコミュニティーに飛
び出し,住民とともにアクションをおこしながら学ぶ実践代表例と
言える.この学びの共同体の形成過程に必要である「内容知」と2
種類の「形式知」について,3間並んだ家の中の活動に例えて説明
する.
 「内容知」の家の中では,(1)想いの表現→(2)想いの共有
→(3)グループとしての目的化(問題意識)→(4)活動計画
(参加のプロセスデザイン)→(5)活動の実行→(6)活動の評
価→(7)活動の報告書という活動が行われている.具体的には,
地域の住民と一緒にアクションを起こすことになったとき,まず一
人一人の思いを表現しあう(1).そして,「あなたと私は一緒に
活動できるわね」と小グループになる(2).第3回目,第4回目
には,個人のエゴが出てきて喧嘩になることもあるが,その後に目
的が明確化し(3),活動計画(参加のプロセスデザイン)ができ
る(4)と,自分たちで活動をやっていくことになる(5).地域
でアクションを始めるようになると,得られる情報の差からグルー
プ差が生まれてくる(6).また,活動の実行をしながら,(6)
→(5)→(4)→(3)→(2)→(1)という流れも必要とな
ることから,自分たちの計画を柔軟に変えていくことが大切である.
「内容知」の家の隣の「形式知」の家の中では,ニュースの作成,
アンケートの整理・報告,司会,タイムキーパー,有志による工房
の企画会議,リーダー会議,教室の設営など,「内容知」の内での
活動がスムーズになるような枠組みづくりを受講生が自主的に行っ
ている.
 テキストなどを用意するスタイルも多い.もう一方の「形式知」
家の中では,有益なアドバイスをしてくれる工房のOB/OGによるサ
ポート隊がいる.また,研修所から補助金を獲得してくるなど資金
作りも自分たちで行っている.このように,工房の「内容知」の家
の活動は,両側の「形式知」の家の活動により支えられている.

●「わくわくまちづくり工房」の活動成果
 5年の蓄積を有するこの活動の成果は,地域へ還元されつつある.
例えば,「いとうづの森の仲間たち」は,地域と学校の連携によっ
て生まれた,広い意味でのまちづくりといえる.これは,子供たち
の自己表現力を養うために市と工房が協力し,戸畑区の市立あやめ
が丘小学校3年の児童95人が,総合学習の時間に取り組んできた演
劇や音楽,手話などを披露した発表会である.平成14年10月3日の
朝日,毎日,読売新聞(朝刊)にも紹介されている.
 この活動を通じて,子供の自己表現力をつけるとともに,子供た
ちに「自分もコミュニティーにおいて大切な一人である」ことを伝
えた.このような経験をした子供たちが,将来,自分たちだけでな
く,地域にも還元していくという人材に育っていくのではないか.
 また,今年も喧々諤々とした議論の後に,犬や猫の糞害を取り締
まる条例作り,公園づくり,里山作りが行われている.大変嬉しい
ことに,工房が終わってもグループ活動,グループの種を生み出し
ている.


3.ラベル ディスカッション

●各グループで1つの質問をつくろう
 ラベルを用いたグループワークを体験しながら竹迫氏のお話に
対する質疑応答を行った.まず,4〜5人の5つのグループに分かれ,
1人2つまでの質問,論点,意見,感想を複写ラベル(参画文化研
究会が開発した3枚に複写可能なラベル.4枚目はシールになって
いる.自分を含め同時に4方向に情報発信できる.1枚8円.)に
記入する.1枚のラベルには,1つの内容と名前を書く.時間は3
分間.胸の中にもやもやとあること,単純なことの方が核心をつい
ていたりする.全員が出し合ったラベル8〜10枚を大きな紙にマッ
ピングしながら,1グループで1つの質問にまとめる.

<選定された質問>
1)(わくわくまちづくり工房のような自主的に活動する講座でも)
全てを客観的に見て,判断する人(専門家)が必要ではないか?
2)グループ内が険悪な雰囲気になったり,参画したくない人を参
画させたりするとき,「場作り」は具体的にどのように行えばよ
いのか?
3)知識の異なる参加者による「グループでの目的化」,「活動計
画」はどのように行うのか?
4)いろいろな人が集まったときに意見の対立もあるだろうが,結
果としてどのようになったら良いと考えるのだろうか?
5)わくわくまちづくり工房の成果がどうなれば,成功したと考え
ているか?

 まず,質問1)については「専門家が必要」とのこと.「わくわ
くまちづくり工房」の場合は,竹迫氏が活動をスーパーバイズする
役割を担っている.このスーパーバイザーやトレーナーのような人
材の育成も必要である.

●グループ内が険悪な雰囲気になったり,参画したくない人を参画
させたりするとき,「場作り」は具体的にどのように行えばよいのか?
参加したくない人はしなくてもいいと考える.実際,参加者が50人
くらいの場合15人くらいは自然淘汰される.参加者の減少が良
い事か悪いことかは分からない.ただし,その場に来て,学んでい
たいという「参集」型の人も,その場にいられる,受け入れる,そ
ういう場作りが必要だと思う.参画しなければならないというのは,
強制の参画.そうならないためには,どうしたら良いかということ
自体,受講生と知恵を出して考えて行けばよい.
 工房の活動をやめていった人の大半は,行政に陳情しに来た人が
多い.第1,2回目の全体議論では,とくに住民参加者の一部の方
は,行政の人と一緒に活動して提案したことは,行政の人が今後独
自に進めてくれるのではないかと思っている.やめていった人の半
分は,自分の希望を言えば行政が聞いてくれると思ったが実際には
そうでなかったため.残りの人々は,上手く自分のグループや賛同
者が見つけられず参加し辛くなったためと思われる.一人であって
も,志があれば,他のグループの人がアイデアを出したり,他の活
動としてやってみたり,グループ間の支援ができるようにしたい.
現時点では,自分たちのグループのことで手一杯の状態にあるため,
一人になった人を受け止めることは今後の課題といえる.

●知識の異なる参加者による「グループでの目的化」,「活動計画」
はどのように行うのか?
 まず,グループ作りは,自分の似た意見の人を捜し求める.10人
くらい集まるときもあるが,後に3つくらいに分裂している.グル
ープのメンバーが正式に決定するのは,4,5回目.2,3人のグルー
プもある.外部から応援として,見たこともない参加者がいる場合
もあり,メインの受講生とサブの受講生がいる.2人のグループでも
志があれば良いと考える.
 グループ内では役割分担を行っている.基本的に竹迫氏はグルー
プに入らない.竹迫氏が入る場合には,時期によっては内容が引き
ずられてしまう恐れがあるので,タイミングを見極めるようにして
いる.ただし,リーダーにこういう風にしたらどうかというアドバ
イスは行うし,皆が平等に発言できないような場には介在する.ま
た,メンバー間でトラブル発生時は連絡するよう伝えてある.
「グループの目的化」,「活動計画」は,自分たちで自主的に集ま
り,計画書という形でまとめるが,1回の試行だけでは難しい.目
的を議論し,議論の過程で計画のことを話しているが,いざ地域に
でると,誰が交渉するかなど,新たな問題が発生し,もう一山超え
なければならない.とくに行政の方は,不安があるようだ.
 当然,上手くいかないグループも出てくるが,受講生ひとりひと
りが自分のネットワークから,人をつれてきて,新たなネットワー
クを形成し問題解決を図っている.

●何をもって成功とするか?
 竹迫氏自身「ぜひ皆さまのご意見をお聞きしたい部分」とのコメ
ントつきで次のような話があった.
この工房の目的は,あくまで協働のまちづくりの姿勢や手法を学ぶ
ことにある.その方法として,活動テーマを立ち上げてのグループ
活動という形態をとっているにすぎない.一概に,グループ活動が
うまくいかなかったからといって成功していないとはいえないので
ある.活動がうまくいかなくても,なぜうまくいかなかったかを学
ぶことができれば良いのではないかと考えている.参加者は活動プ
ロセスの中で,もしくは報告書の中でしっかり自己分析をしている.
そこに一定の学びがあったのではないかと見ている.例えば,中間
報告会では,失敗したグループ,ぱっとしないグループ,こじんま
りと収めているグループはある.その場合は,内容面について厳し
く言う.竹迫氏だけではなく,いろいろな方向から徹底的にたたい
てもらう時間を持ち合う.これで内容が変わる場合もある.それで
も,最終発表会のときに,一年間の学び,グループとしての成果が
十分に出せなかった場合,自分の苦い経験として残る.そこを出し
てもらうところまでが,人材育成と考える.
 OB/OGになる人は,成果を作った人,満足いく成果が出せずもう
少し学びたいという人の両方がいる.その他,自分のやりたいテー
マがある人とは個別に話しをする.のめり込んでいる人,手法を学
ぼうという人,いろいろな人がいることが良く,各々の良いところ
を生かしていけば良い.
 立場の違うものが意見の対立を乗り越えてアクションを起こす.
さらに,意図していない成果として,工房が終わっても,町内会に
足を運び継続しているグループがある.これは,一つの成功といえ
るのではないかと思われる.

〔文責:土木技術者のための合意形成技術の教育方法に関する研究会
    開催支援事業担当:水谷香織/石川雄章〕


4.主催者所見

徳島大学  山中英生

第二回の合意形成技術者の教育プログラムは,まちづくり分野で
の人材育成の視点からということでお願いをしたが,竹迫さんの参
画授業の話,場作り力の人材育成という話は,既存の「教育」もし
くはその「プログラム」というあり方そのものの考え方を見直すべ
きとの示唆を強く受けたものであった.従来の教育のように,今回
の研究会では,教える内容を教育者が理解し,それを伝授するとい
うものをステレオタイプに描いていた観があり,教えるべき内容を
整理するという視点になりがちであったが,それだけでは不十分で
あることが指摘されたことは今回の大きな成果といえる.
第一に,第1回の交渉学でのシミュレーション教育は,与えられ
た課題に対して解決プロセスを体験するというプロセスと,その後
の相互のディスカッションを通じた論理化と浸透化をねらうという
教育方法の提案であったが,この第2回は「わくわくまちづくり工
房」に見られるように,自らが課題を創造し,自らが解決する能力
を学習していくことを支援するといった教育スタイルの提案と考え
ることができる.この手法は,「土木技術者としての合意形成技術
教育」への応用は十分に適用可能であり,先に述べたように重要な
スキルの育成手法として考えることが必要であろう.
ただし,教育の成果としての育成すべきスキルをどのように設定
するかについては,やや曖昧になるきらいを感じられ,そのことに
ついての議論を今後深めていく必要を感じた.
第二は,上記のような教育スタイルの問題以上に,プログラムに
参加する人々の自主性のもつ意味と意義についてであろう.逆にい
うと,土木技術者が「合意形成」を課せられたつらい仕事の一つと
してとらえ,それを「そつなく」とか「手際よく」こなすための技
術を身につけるといった意識で「教育プログラム」を受けるといっ
た形態からは,真の人材は生まれないという苦言である.
めざそうとする「合意形成を生み出すこと」が,「社会をよくし
たいという思いを達成すること」であり,楽しく,やりがいのある
ことであるという教育像を描かなければならない.このことは第1
回でも,実はパレート最適を目指すべきといった指摘に示されてい
た思想であったが,それを再認識した.


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PI-Forum主催
 第12回 異分野PI交流ワークショップ開催予定のお知らせ
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『PI-Forum』 (http://www.pi-forum.jp)は、「パブリック・
インボルブメント」と呼ばれる住民参画型の政策決定手法、の知恵
・技術のプラットフォームづくりと「市民発議(パブリック・イニ
シアティブ)」の実現をめざし2002年5月発足したNPOです。
6月より定期的なワークショップを開催、PIや合意形成の現場にお
ける知恵や技術を「学び会う場」を提供してきています。

第7〜11回まで開催したシリーズの論点を踏まえ、「NPOマネジ
メント」発行者である川北秀人氏(IIHOE[人と組織と地球のための
国際研究所])等をお招きし、議論を深める機会としたいと考えて
おります。

タイトル、参加ゲスト等については調整中ですので、追ってこのメ
ールマガジンでご案内を差し上げます。

◆ワークショップ(第12回)の概要
日 時:1月10日(金)18:30〜20:30
場 所:(株)博報堂
    JR田町駅から徒歩6分
    都営地下鉄三田駅から徒歩8分
    http://www.hakuhodo.co.jp/profile/index.html
定員・参加費・参加資格等は未定です。
(第7回〜11回参加経験者のみとさせていただく場合があります)
※協力(会場提供):
 博報堂ソーシャルマーケティング研究会
              ワークショッププロジェクトチーム
                城山英明、梅本 嗣、水谷香織
                浅古尚子、澤村典子、土屋統子

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■■事務局Voice   (事務局 水谷香織)■■

冬のピリッとした寒さを感じる今日このごろ、皆さまいかがお過ご
しでしょうか。PI-Forumでは、最近、少しずつ対外的な広報活動を
はじめました。まだまだ十分な対応ができる事務局ではございませ
んが、よろしくお願いいたします。

また、今期の会員の募集も(目立ちませんが)継続しています。
「異分野PI交流ワークショップ」の企画、開催などのように、
会員の方ならでは企画立案・チーム参画などの特典があります。
「何かを提供される魅力」よりも「主体的に何かを探索・追究でき
る魅力」の場として、ぜひPI-Forumの会員に加わっていただければ、
と思います。
ご興味がございましたら、事務局までお問い合わせ下さいませ。

次号では、第10回WSレポートなどをお届けできる予定です。
(お楽しみに!)

(連絡先:kao@cive.gifu-u.ac.jp)
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