-社会の合意形成を支援する- NPO法人 『PI−Forum』
メールマガジン 第28号
(2005/1/27)
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2005年を迎えてはじめてのメールマガジンを発行いたします。
昨年11月末にシンポジウムと見本市を2日間連続で開催しましたが、
多くの方々にご参加いただき、実りあるものとなりました。ありが
とうございました。本年も「社会の合意形成を支援するNPO」として
活動を活性化していきたいと念じています。
本年もPI-Forumの活動へのご参加、ご支援のほど、どうぞよろしく
お願いいたします。
(編集長:梅本 嗣(PI-Forum理事)
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★☆目次☆★
[ごあんない]
●「PI-Forum 誌」発行のお知らせ
[イベント情報(報告)]
●PI-Forum イベント報告(参加学生レポートから)
「市民参加のガイドラインを考えるシンポジウム」
「合意形成トレーニング体験コース見本市」午前の部
[海外理事通信]
●「公共サービスは誰が担うべきか?」田中 秀明
[書籍・論文の紹介]
●書籍(抜粋)のご紹介
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■□ 「PI-Forum 誌」発行のお知らせ □■
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このたび、公共政策、公共事業、まちづくりなどの分野における
社会的合意形成に関する研究、事例を実務家と研究者が幅広く情報
共有することを目的に、PI-Forum誌を創刊しました。
このたび、第一号を発行いたしましのた。ぜひご覧ください!!!
無料でダウンロードできます!
URL:http://www.pi-forum.org/journal.html
★☆ 目次 ☆★
第1号 (2005年1月発行) 合意形成研究の多様性
PI-Forum誌発刊に寄せて
:PI-Forum理事長、石川 雄章
2ndステージを迎えたPIとPI-Forumへの期待
:筑波大学、石田 東生
《招待論文》
参加型まちづくりの技術の蓄積と今後の展望
:東京都立大学、饗庭 伸
進化する民主主義:紛糾した施設立地がいかに社会を前進させたか
:ハーバード大学、D. Aldrich
日本における社会的合意形成の試みと課題:
東京大学、城山 英明
「宝さがし」−地域資源の保全に関わる合意形成手法としての視点
から:二戸市における馬淵川沿岸の揚水機場建設計画とカワシンジ
ュガイの保全:
未来政策研究所、比田井 和子
《公募論文》
促進的調停人育成に関する日本における試行的導入と課題について:
三菱総合研究所、入江 秀晃
知識科学と合意形成:水産政策における事例研究の知見から:
北陸先端科学技術大学院、末永 聡
ポスト近代的コミュニティのための参画デザインモデル:社会的
アクションラーニングの研究:
星稜女子短期大学、竹村 哲
PI-Forum誌編集委員から、その他ご案内
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■ PI-Forum イベント報告
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イベントの実施に当たった学生会員および会員以外の学生ボラン
ティアの方々に報告を書いていただきました。
イベントに関与した学生という立場ならではの視点からのレポート
としてご紹介をさせていただきます。ぜひ御一読ください。
●「市民参加のガイドラインを考えるシンポジウム」
◆実施概要
□日時 : 2004年11月29日(月)14:00〜17:30
□場所 : フィオーレ東京 地下1F ローズルーム
□プログラム:
第1部 『公共政策への市民参加の取り組み』
・西村 典明氏(福岡県 企画振興部 空港対策局長基盤整備部)
「福岡空港の総合的な調査に係る情報提供及び意見収集のあ
り方(PI計画)」
・長尾 広幸氏(岐阜県 企画管理課 企画管理担当主査)
・伊藤 幸寛氏(三鷹市 企画部 企画経営室)
「みたか市民プラン21会議の取り組みから」
第2部 『市民参加ガイドラインを考える』
・矢嶋 宏光(PI−Forum理事)
(=(財)計量計画研究所都市政策室長)
「PI−Forumが考える『市民参加ガイドライン』の重
要なポイント」
・パネルディスカッション
パネリスト:
西村 典明氏(福岡県 企画振興部 空港対策局長基盤整備部)
長尾 広幸氏(岐阜県 企画管理課 企画管理担当主査)
伊藤 幸寛氏(三鷹市 企画部 企画経営室)
田上 聖子氏(熊本市 市長室 市民協働課)
小泉 秀樹氏(東京大学教授・都市計画)
加藤 浩徳氏(東京大学助教授・交通計画)
モデレーター:
城山 英明(PI−Forum理事)
(=東京大学助教授・行政学)
なお、シンポジウムで公表いたしました「PI-Forumが考える『市
民参加ガイドライン』」につきましては、近日中にPI-Forumのホー
ムページに掲載する予定です。
URL:http://www.pi-forum.org/
◆参加学生レポート報告:
事業の透明性確保や説明責任の面から市民参加を重視する動きが
見られ、積極的に実施する自治体が増えている。そのような中で基
本的な考え方や方法論をどのようにすればよいかというニーズがあ
り、早急なガイドラインの確立を必要としている実務者も少なくは
ないと思われる。
今回のシンポジウムは『市民参加のガイドライン』を策定する上
での知識の共有と議論が中心テーマとして2部構成で行われた。
第1部では、スライド等を交えながら自治体の先進的な市民参加
の取り組みが紹介され、現場レベルでの生の声を聞くことができた。
第2部ではPI-Forumによるガイドライン検討の進捗状況が伝えら
れ、今後の方向性などが語られた。続いて、会場を巻き込んだ形の
パネルディスカッションが行われ、有識者と実務者間で第1部での
取り組みに関する質問や方法論、パブリック・インボルブメント用
語に関する解釈論からガイドライン不必要論まで、多岐にわたった
意見交換がなされ、参加者の関心の高さを強く感じることができた
。但し、研究者が論理的な議論になっているのに対し、実務者は今
すぐ使える実践的な方法を求めているように感じた。そのため両者
には少々のギャップがあるのではと思われることもあった。しかし
ながら今回のような議論を通して、互いに知識を共有することがで
きたのではないかと思う。今後も継続して活発な議論の場を設ける
ことにより、更なる補完を行っていく必要があると思われる。
(文責:柳沼 秀樹;非会員=芝浦工業大学 工学部土木工学科 4年)
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●「合意形成トレーニング体験コース見本市」午前の部
◆実施概要
□日時 : 2004年11月30日(火) 9時〜12時
□場所 : フィオーレ東京 地下1F
□プログラム:
・中野 民夫 氏(ワークショップ企画プロデューサー)
「ファシリテーションの基礎技術-ワークショップとファシリテ
ーション-」
・堀 公俊 氏(組織コンサルタント/日本ファシリテーション
協会会長)
「ファシリテーション/合意形成 ロジカルに議論をまとめる」
◆報告:
・中野 民夫氏
本講義では、ワークショップ(以下WS)とその中で重要な役割を
果たすファシリテーションの技術について学んだ。
はじめに「中野氏のワークショップを体験」し、その後に説明を
受けた。実際に体験した後に説明を受けたことで、中野氏の思想の
本質をより深く理解できたように思う。
WSは参加者が、椅子を円形に並べなおすことから始まった。中野
氏によれば、“参加者は、自分たちで椅子を並べ直すことで、「場」
を自分たちで作っていることを実感できる”という。それとともに
「場」の作り方が、参加者の創造性にまで強く影響を与えるそうで
ある。
椅子を円形にしたあとで参加者は、自己紹介に代えて、(1)自分
の活動分野、(2)WSややファシリテーションの技術を生かしたいこ
とを一人1分で話した。中野氏は、「参加者に最初に話してもらう
言葉にとてもこだわる」。最初の言葉によって、個々のWSにに参加
した動機を再確認できるとともに、ファシリテーターも参加者の求
めていることを知ることができるから、である。
一人1分話し終えたあと、中野氏をファシリテーターとして「WS
に関して考える課題、必要なこと」をテーマに話し合った。まず、
参加者は、テーマについて、紙にキーワードを書き、ホワイトボー
ドに貼り付けて発表した。発表は、「その場しのぎにならないWSを
するには」、「どの意見を汲み取り、どの意見を排除すべきか」と
いうように、参加者の実経験からでた内容が多かった。その発表後、
中野氏は、共通点を見つけるなどして、キーワードごとに発表をま
とめた。
休憩後、中野氏は、前半のWSとそれに続くファシリテーションを
どのような考えの裏づけをもって進めたかを中心に説明された。そ
の中でも、中野氏の“WSの最大の意義は、参加者の「当事者意識」
が非常に高まることである”という言葉が、WSを終えた直後だった
ので、非常に印象に残った。加えて中野氏が提起された“「問いか
けの技術」と「空間のセッティング」が特に重要なファシリテーシ
ョンの技術”との指摘が、中野氏の実践の体験直後なので、よく理
解できたように思える。
中野氏の言葉一つひとつを心に刻み、今度自分がファシリテータ
ーをするときに生かしたい。
(文責:佐藤 祐賢;非会員=東京工業大学大学院 社会理工学研
究科 博士前期過程一年)
・堀 公俊 氏
「合理的かつ納得性の高い合意形成」をするためのスキルについ
て、3時間にわたるグループワークを通じ学んだ。参加者の顔ぶれ
は多彩。行政、コンサルタント、大学関係者、NGO職員など総勢20
名が4グループに分かれた。
冒頭、堀氏からファシリテーションについて簡単な説明を受け、
早速、「グループの世話人を決める」グループワークに入って行く。
「自薦他薦や多数決、じゃんけんは禁止!あくまで合理的で納得性
の高い決め方をして下さい」ということで各グループ工夫をこらし
た。例えば、最初に自己紹介をして人間関係を作り、互いの背景を
共有する。その後で世話人の選定基準、理想像を話し合う、といっ
た手順だった。最後は腕相撲で「体力」を競ったグループもあった。
次のグループワークは、よりビジネスの現場に近いものだった。
参加者はデパートの経営陣となって「斬新なイメージを打ち出すた
めに女性店員の制服を廃止してはどうか?」というテーマについて
「YES/NO」を出さねばならない。時間は30分。事前にレクチャー
されていた議論の整理の仕方をフル活用。議題の目的・論点を共有
し、議論のプロセスを大事にしながら、ホワイトボードや模造紙な
どのツールを用いて試行錯誤した。堀氏からは「廃止した場合のメ
リットとデメリットを全て網羅できているかを確かめるために、例
えば『客、女性店員本人、店』に分けて考えるなど工夫が必要」、
「判断基準はメリット・デメリット各々の列挙数で決めては行けな
い、そのうちのどれが重要かを皆で確認すること」だとコメントが
あった。そして30分では終わらなかったことに関して「ビジネス
では限られた時間の中で答を出すことも大事」のひとこと。学んだ
ことを肝に銘じ今後活用して行きたいと思う。
文責:浅古 尚子;学生会員=慶応義塾大学大学院 政策・メデ
ィア研究科 修士課程2年
山崎 麻里;非会員 =東京大学大学院 農学生命科学研
究科 修士1年
※「午後の部」につきましては2月号でご紹介する予定です。
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■海外理事通信
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「公共サービスは誰が担うべきか?」
田中 秀明 (PI-Forum 理事、
オーストラリア国立大学客員研究員)
オーストラリアの首都キャンベラから初めての便りをお届けしま
す。オーストラリアは今真夏です。日中の最高気温が30度を超える
日もありますが、湿度はゼロに近いので汗はかきません。抜けるよ
うな青空に真夏の太陽が輝いており、オージーはもう夏休みモード
に入っています。
さて、今回はオーストラリア事情の紹介ではなく、少しお勉強で
す。PI-Forumの「PI」は、3つのPIのことを示しています。それは
Public Involvement:行政が政策決定過程に市民の参画を進める、
Partnership Incubation:パートナーシップを育む環境をつくる、
Public Initiative:市民一人一人が積極的に発議・提案していく、
の3つですね。それでは、NPM、CCT、VFM 、PFI、PPP、NPS、は何の
略語でしょうか。これらの意味を説明しながら、表題の「公共サー
ビスは誰が担うべきか」について考えてみたいと思います。
公共サービスを主に誰が供給してきたかといえば、言うまでもな
く国・地方の「政府」です。急に病気やけがをすれば、救急車を呼
びます。街に熊が出没すれば、役所に何とかしてくれと頼むでしょ
う。国民が何でも頼んでいるうちに、政府は次第に大きくなり、国
民が負担する税金も高くなっていきました。また、お役所仕事と言
われるように、政府は尺時定規で非効率だと批判されてきました。
こうした問題に対抗するように、80年代の欧米諸国で広がった行財
政改革の動きがNew Public Management(NPM)です。
NPMの最初の動きは政府事業の民営化でしたが、次第に政府そのも
のの役割を見直す動きに変わっていきました。政府は、船(公共サ
ービス)の漕ぎ手(直接供給)ではなく舵取り(制度の企画管理)
に徹すべきだというものです。例えば、ゴミ処理や学校給食等は、
別に公務員が直接しなくても、効率的で信頼できる機関であれば、
株式会社でもよいのです。極端な例は、英国のサッチャーが始めた
、Compulsory Competitive Tendering(CCT)です。これは、公共サ
ービスの供給について、官と民のどちらが効率的かを競争入札によ
って決め、官が負ければ当該事業部門は廃止となる仕組みです。更
に、橋や道路等の社会資本についても、資金調達から建設・管理運
営に至るまで民に任せるのがPrivate Finance Initiative(PFI)で
す。サービスが「お値打ち」(Value for Money:VFM)であれば、
供給主体は、官だろうが、民(会社やNPO)だろうが問わないので
す。
NPMモデルでは、サービスの委託内容を契約で明確化し、きちっ
と仕事をしているかをチェックする必要があります。しかし、それ
にはコストがかかります。サービスの漕ぎ手と舵取りがお互いに緊
張関係(上下関係)にあるよりも、信頼と協調関係(対等の関係)
にある方がコストも下がり、よりよいサービスが提供できると考え
たモデルがPublic Private Partnership(PPP)です。官のパートナ
ーとしては、最近、NPOの役割が大きくなっています。埼玉県の志
木市は、今後十数年間公務員の新規採用はせず、ほとんどの公共サ
ービスはNPOを含めて民間にアウトソーシングする方針を打ち出し
ました。20年後(平成33年度)には、市役所の職員数は現在の約6
00人から半減し、更に将来目標として職員数を30〜50人くらいにす
るそうです。
ところで、こうしたNPMやPPPでは、国民はどう扱われているので
しょうか。それは顧客です。確かに国民はサービスの受け手ですが、
それだけではなく、主権者でもあり、出資者でもあります。受動的
な役割だけではなく、国民はもっと能動的な役割を担うべきだとし
て登場したモデルがNew Public Service(NPS)あるいはネットワーク
と呼ばれるものです。PIもこのモデルの範疇に入ると言えるでしょ
う。
いろいろなモデルを紹介しましたが、それでは公共サービスは一
体誰が担うべきなのでしょうか。残念ながら、これは明確に定義で
きないと筆者は思っています。同じサービスでも、時代によって、
国・地域によって、答えは違うからです。英米では、最近刑務所も
PFIでやっていますが、20年前にこれを誰が予想できたでしょうか。
英国では、教育委員会の仕事を株式会社が担う自治体もあります。
公共の役割分担はますます複雑になっていますが、筆者は、その担
い手が誰であろうと、サービスの内容を評価することが最も重要だ
と考えています。私的なサービスは市場で自ずと評価されますが、
公共サービスはそうしたフィードバック・メカニズムが働かないか
らです。
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■[書籍・論文のご紹介]
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●書籍のご紹介
「合意を疑う」井上 達夫
(『現代の貧困』第三章、岩波書店 2001年)
本書は、天皇制、会社主義、コンセンサス原理という3つのテー
マを扱っています。その中から、コンセンサス原理について書かれ
た第三章をご紹介します。
3つのテーマが扱われていますが、リベラリズムという概念によ
って統一性をもたされています。ご興味を抱かれた方は、ぜひ通読
なさってください。
□概要
なぜ合意は必要なのか?その問いに答えて、筆者は、真理に近づ
くことと民主制を正統化することの二つのことについて論じている。
(1)真理との関係について−「真理は一つだから、理性的に議論すれ
ば、自ずと合意に到達する」という素朴な理性信仰も、「合意が真
理を作る」という考え方も、「対立が解消され合意が成立すること
を不可欠とみなしている。しかし著者は「対立の存続こそが、探求
の生産性の条件である」と指摘する。そして、その前提として、2
つのことが広く合意されていなければならないとする。まず自分の
理性の有限性・局所性を自覚し、他者の視点を認めるために「自己
の経験基盤を超えた存在の豊饒性」についての合意、もうひとつ、
対話によって互いの地平の拡充を促すべく「自他の視点の相互補完
性」についての合意が必要とする。
(2)民主制の正統化について−民主制は「多数者による少数者支配」
の制度化である。そして、民主制自体に反対するものに対して「民
主制についての合意があるから民主性は正統化できる」と主張する
ことなどできない。そこで筆者は、「少数者からの合意、すなわち
多数の専制に対する少数者の拒否権の留保」に民主制の正統化根拠
を求める。そして、民主制の具体的な制度設計の指針として「民意
が最もよく反映されることを求める反映的民主主義ではなく、政権
交代の可能性を通じた政策の競争を求める批判的民主主義」という
考え方を提示する。また、少数者の拒否権については、政治過程の
外部、すなわち司法部の違憲審査による人権保障として担保するこ
とを主張する。
□所感
「合意は必要なのか?」−こう著者は問いかけます。合意(コン
センサス)は望ましいものと思い込まれがちですが、必ずしもそう
ではないことをこの問いは思い出させてくれます。合意という言葉
で、異なる意見が封殺されてしまっていることはないでしょうか?
現実には、既得権を持つ集団だけの間での妥協が合意とされている
こともあると言われます。また、行政のアリバイ作りのような合意
形成プロセスもあると言われます。結果として合意があることでは
なく、むしろ議論のプロセスや態度などについて合意があることが
重要であると、著者は指摘しているように思います。
私たちは、著者の主張にはさらに検討すべき点が残されていると
考えます。1)多数者間ではなく、一対一の合意については同じどう
なのだろうか。2)理性的に議論できる人ばかりではないのではない
か。3)司法府を信頼して少数者の保護を任せられるのだろうか。4)
司法府と立法府が対立したときに、司法府の判断を優先させて多数
者の意思を制約してもいいのだろうか、またその場合、5)制約が
許される条件は何だろうか。さらには6)立法や司法の機能がはっき
りしていない類の国際関係においては、どうなるのだろうか。
明確な解答があるわけではないのかもしれません。ただ、この論
文の問いには向き合わねばなりません。合意形成が流行りになりつ
つあると思いますが、ともかく合意があればよいというものではあ
りません。誰の、何についての、合意なのか。そして、それは何の
ためなのか。合意形成が広く唱えられつつある今こそ、改めて問い
直すことが大切であると考えます。
(文責:飯島 裕希、石渡 香奈子)
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PI-Forumでは、市民団体、大学、行政、民間企業等、様々な分野
・立場の方々のプラットフォームを形成するため、幅広く会員を
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〜PI-Forumの目指すもの〜
我々は、行政が政策決定過程に市民の参加を促すとともに市民一
人一人が積極的に発議するための新しい合意形成の仕組みを提案
し、提供することにより、市民が主体的に合意形成の取り組みに
参画する社会を実現するとともに公共サービスの満足度を高める
ことを目指しています。
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PI 3つの定義
1.Public Involvement:行政が政策決定過程に市民の参画を
進める
2.Partnership Incubation:パートナーシップを育む環境を
つくる
3.Public Initiative:市民一人一人が積極的に発議・提案し
ていく
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メルマガ編集:飯島 裕希(メルマガ事務局)
メルマガ配信:菊池 豊(理事)
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